2002年05-06月 北海道 2日目 - 幾寅(幌舞)駅、釧路湿原

 急行「はまなす」で札幌に到着した2日目は、そのまま特急スーパーホワイトアローと根室本線を乗り継いで映画「鉄道員」の舞台となった幾寅駅を見学。午後は釧路湿原を散歩して釧路で夕食後、夜行特急「まりも」で取って返しました。

この記事の配信5か月前の2024年3月に根室本線の富良野・新得間が廃止となり、幾寅駅に列車が来なくなってしまいましたが、この当時は映画「鉄道員」の公開からまだ3年で、少なからぬ観光客が訪れていたと思います。


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平成14年(2002年)5月31日(金)

◎青森 前2308→618 札幌  はまなす 札幌行急行201  ED79 19(函館からはDD51 1095)及び14系客車8両編成(但し機関車寄り1両は閉鎖4号車=オハ14 502 のびのびカーペット車28番席

 途中停車駅の際も控え目ながら案内放送はあったようだ。揺れと音は大きい(戸袋近くでドアエンジンの音も響く)が、全身を伸ばしてカーペットに横になり、まあまあ眠れた。まだ寝ていたいところだが、千歳を出てから身支度。



 608に新札幌発車ほぼ定時。車窓には札幌近郊の整った町並みが広がる。ストーブの設置が前提のためか、どの住宅も煙突が付いている。610を過ぎると、車内放送で、もうじき終点札幌に到着するので下車準備をされたい旨と乗り換えの案内があった。

 618札幌着。列車を外から一通り見て回る。627に列車は小樽方向に回送されていった。ホームのエスカレーターを降りて駅構内を散歩。改札内に航空会社の自動チェックイン機が並んでいる。この時間は高校生やサラリーマンが多いが、航空会社の客室乗務員の一行もいた。旅行センターに行き、備え付けの時刻表やオレンジカードの案内などを眺める。JR北海道15周年記念のオレンジカード2枚セットのポスターが貼ってある。帰りに買おうか。券売機は、2千円札対応のものはないようだ。改札は自動化されていて、東逗子で購入したぐるり北海道フリーきっぷも自動改札を通った。


◎札幌 655→746 滝川 スーパーホワイトアロー1号 旭川行L特急3001M 785系5両編成 4両目4号車=モハ785-502

 この列車にはグリーン車は連結されていないが、指定席はu-シートと称して、自由席と差を付けている。シートピッチが広く、背もたれの頭の部分が深い。パソコン専用コンセントが各席の背もたれに付いている。また、背もたれに収納のテーブルは、白木模様(材質はプラスチックのようだが)で品が良い。通路も含めて絨毯が敷かれている。トイレは車椅子対応の大きな部屋になっている。自由席が混雑しているのと比べて空席が目立つ。座席は2割も埋まっていない。短時間ながらゆったりと過ごす。

 滝川で一旦改札(ここも自動改札)を出て売店でサンドイッチを購入。表示価格は税別だった。待合室は高校生などで混んでいる。自動改札なのに、駅の放送で「只今から8時3分発岩見沢行の改札を始めます」と言っていた。


◎滝川 805→908 富良野  富良野行快速3425D  キハ40 757単行ワンマン

 各ボックスに1人いるかいないかの空いた車内。あまり速度の速い車両ではなく、のんびりと走る。赤平あたりに長屋風の建物が並ぶ。炭住にしては新しそうだが。赤平の駅舎は赤煉瓦で飾られた3、4階建ての立派な建物。

芦別はかつて貨物用の引込線でもあったのか、構内は広く草むしている。野花南から山間部を通り峠越え。長いトンネルを過ぎると富良野の平野が広がった。

◎富良野 915→958 幾寅  狩勝 帯広行快速3427D キハ150-6単行ワンマン

 旭川から来た列車のうち、後ろ1両を切り離したようで、ここから単行運転。ワンマン仕様で車内の見通しが良いが、通路を広く取るため、片側4人ボックス、片側は2人ボックスで、車端部はトイレのほかはロングシート。ボックス席はそれぞれ人がいるので、後ろのロングシート部分に陣取った。通学には不思議な時間だが女子高生が1人、正面のロングシートに陣取り、化粧及び瞼の二重化作業をしていた。

 富良野駅の跨線橋はログハウス風で変わっている。快速なので幾つかの駅は通過しながら、山間の平地を走る。空は曇っており、奥の方の山は雲か霧で霞んでいる。金山近くからは小雨が降り出したようで、全面のワイパーが作動している。

 幾寅で下車。雨が本降りになってきたので、とりあえず駅舎内に入る。他の下車客が数人いたが、皆地元の人のようで、足早に散って行った。その代わり、観光バスで来たらしい集団が代わる代わる来る。昼間の時間帯は駅で切符も売っている。硬券入場券を購入。通常の幾寅駅の内容。「鉄道員」関係では絵葉書とテレフォンカードを販売している。オレンジカードは、「鉄道員」とは特に関係ない図柄。

 駅周辺には映画「鉄道員」のロケセットが建ち並び、BGMで映画のテーマ曲が絶えず流れる。観光バスの集団が去り、雨も一時的に止んだので、駅構内および駅前に集まるロケセットを撮影。説明の看板がどうしても入ってしまうが仕方ない。




 100m程金山寄りに、南富良野町情報館と称する立派な建物があり、その1階は「鉄道員」関係の展示スペースになっている。そこも見物。セットや小道具の一部や、出演者のサイン色紙などが展示されている。 




その後、町役場方面に散歩するが、雨が強くなったので役場に避難して傘を取り出した。

 再び駅に戻る。駅前の土産物・軽食スタンドで、いもだんごを購入して食べた。「鉄道員」撮影時に地元の婦人会が用意して、高倉健を含めた関係者に好評だったとか。じゃがいもと澱粉を練って餅状にして表面を油で揚げたような味。列車の時刻になったのでホームに上がる。


◎幾寅 1157→1237 新得  釧路行2429D  キハ40系2両編成先頭=キハ40 737

 落合は狩勝峠の入り口で、かつては補助機関車の基地として栄えたのだろうが、それなりの広さの構内から線路はあらかた取り払われている。落合を発車してすぐの左手に別れる線路があり、少し先で行き止まりになっていた。旧線の跡だろうか。列車は短いトンネルを幾つか過ぎながら峠道を登る。石勝線との合流には気付かなかったが、1212頃トンネルの中でポイント通過音があり、新狩勝トンネルに入った模様。勾配もなくなり、列車は加速を始めた。

1217、新狩勝トンネルを出てすぐの新狩勝信号場で運転停車。上り「スーパーおおぞら」が通過していった。峠を下るこの区間は日本3大車窓の1つで、新得を始めとする十勝平野が広がる筈だが、雨と霧のため今日の展望は良くない。近景の草原が幻想的に広がる。

新得でおよそ1時間の乗り継ぎ待ち。新得は北海道の重心の町とされ、それにちなんだモニュメントあり。SL時代に絶景であると同時に難所でもあった狩勝峠における機関助手の苦闘を称えた「火夫の像」もある。

 新得は蕎麦の産地でもあるとのことなので、駅から道路を渡ったところにある「せきぐち」という蕎麦屋に入り、とろろ蕎麦で昼食。


◎新得 1341→1543 釧路  スーパーおおぞら5号 釧路行特急4005D 283系9両編成 5両目5号車=キハ282-102 指定席=3A(後方右窓側)

 広いデッキに沿線の小さな風景写真が展示されている。座席は普通のリクライニングシートだが、鶴のデザインになっている。また、普通車には珍しくフットレストが付いている。暖かい車内で一眠り。車内備え付けのThe JR Hokkaido 誌に目を通す。それによると北海道は蕗の群生が多く見られ、世界的にも貴重らしい。確かに車窓を眺めると、大きな蕗が線路際にまで広がっていて、花を付けているものもある。

 音別の前後で先頭1号車の運転席下の連結部分に行き、しばし前面展望を楽しむ。ただし、高速走行をしているため、虫の死骸が多く付着している。海岸沿いや山間部を走るが、霧が濃くなってきている。

◎釧路 1548→1606 釧路湿原 網走行4740D  キハ54 515単行ワンマン

 車内は混んでいたので運転席後ろのデッキに立つ。東釧路から学校帰りの高校生が数人乗車。相変わらず霧の中を走る。釧路湿原で下車。他に降りる人なし。



 駅前から急な階段を登り、展望台まで行くが、霧のため景色は見えない。

今度は道路沿いに緩い下り坂を行く。蕗や草花の写真を撮りながらしばらく下がると踏切を渡り、川沿いの道を歩く。道路は一応舗装されているようだが、細かい砂利が混ざる。






 1710頃、細岡駅に着いた。予想よりも早く、列車まで30分くらいある。そのため、もう少し先の散策路の入り口まで行く。もう一度踏切を渡った所に達古武湖への木道がある。通りかかると、タンチョウらしき大きな鳥が飛び立った。撮影は出来なかった。少し入ってから駅に戻る。ホーム脇の小川でカラス?が水を飲んでいた。


◎細岡 1741→1804 茅沼  川湯温泉行4742D キハ54 520単行ワンマン

 霧の湿原の中をゆっくりと走行。塘路では交換待ちで6分停車。

 茅沼では他にも下車客あり。旅館か何かの送迎車で出ていった。この駅には平成10年の2月に来ているが、今回は雪のない季節で、周囲の趣は当然異なる。駅の風景を撮影して、冬の風景と比べてみよう。


 駅から右方向に1km程のところに「憩いの家かやぬま」がある。ここの温泉に入浴すべく、徒歩で向かう。宿泊施設だが、日帰り入浴もできる。

意外と離れているが、道道シラルトロ湖線の終端にある「憩いの家」に到着。入り口の看板に入浴400円と記されている。フロントで料金を支払い大浴場へ。浴槽は屋内に岩風呂1つと普通の浴槽2つ、それに露天風呂。何れも「源泉100%」の表示と温度の目安が記されている。露天風呂からはシラルトロ湖が垣間見える。入浴後ロビーで休憩したいところだが、列車の時間があるので、飲み物だけ飲んで施設を後にする。外は暗くなりかけている。

 若干早足で緩い下り坂を駅に戻る。駅舎内に展示してある写真などを眺めてからホームに出て列車を待つ。鳥の声が色々聞こえるが、もう暗いのでどのような鳥かはほとんど見えない。タンチョウは見えなかった。

◎茅沼 1928→2006 釧路  釧路行4739D  キハ54 516単行ワンマン

 学校帰りの男子高校生が数人乗っていたが、途中であらかた下車し、遠矢発車時点では車内の乗客は5人程度になった。外は真っ暗。

 釧路駅でオレンジカードを2枚購入。1枚はタンチョウ、もう1枚は釧路湿原とノロッコ号。

 夕食の時間なので店を探しに駅を出る。次に乗る「まりも」までは2時間以上ある。釧路に来たのだから寿司または海鮮物が良いと思い、とりあえず1km余り南下した幣舞橋の脇にある釧路フィッシャーマンズワーフに行ってみるが、意外と飲食店は少なかった。

駅近くの和商市場付近まで戻る。市場自体は営業時間をとっくに過ぎているが、その周辺には店があるだろうと思ったのだが、ラーメン屋やコンビニ程度。再び南下し、ガイドブックに載っていた「八千代本店」という店に入った。繁華街にあるが、高級そうな造り。丹頂にぎり寿司を注文。一度に出されるのではなく、寿司職人が、1つ1つ握る度に、これは何と説明してくれる。ぼたんえびや生雲丹、毛蟹など、高級そうなものが続く。量は普通だが、種は新鮮で味は良かったと思う。一通り食べて席で会計して退出。元来た道を戻ろうとしたら、丈の短いナース服を纏った呼び込みの集団がいたので別の道を通る。

 駅に戻ったがまだ時間があるので、売店を冷やかしたり待合室でテレビを見たりして過ごす。今日はFIFAワールドカップの開幕戦で、フランス対セネガルの試合を放映していた。セネガルが前回優勝国のフランスに勝ったようだ。

 売店では新しい釧路銘菓として「ねこのたまご」を売り出している。内容としては「雪見大福」のように、餅の中にアイスが入っているようなものだが、種類が多いのが特徴。もっとも駅売店で買えるのは限られるが。2個入りパックを購入。30分以内に食べるようにとのこと。


◎釧路 2300→451 追分  まりも 札幌行特急4014D 183系5両編成2両目4号車=キハ182-513 指定席=4号車7A(左窓側)

 2230にまりもの車両が2番線に入ると同時に改札開始の放送が入る。席に荷物を置いてからホームで写真撮影。業務放送で「3644列車20分遅れ」。その後の車内放送でも、根室からの列車が遅れているため接続を待ち、2308頃発車見込みとのこと。夕方に札幌で信号故障があった影響で下りのスーパーおおぞら9号が20分遅れで、根室行がそれを待ってか発車するという掲示が出ていたので、今度はその列車と厚岸で交換する予定の快速ノサップ(3644D)にも影響が出たのだろう。

 快速ノサップからの乗り継ぎ客が少なからずいた。4号車だけで数人いたようだ。その乗り継ぎを待って、13分遅れの2313に発車した。釧路発車時点で4号車の乗客は20人に満たない。1人で乗ってくる指定席客は皆窓側に座っており、空いていることを見越した指定席の割り振りをしているのかも知れない。発車後しばらくして検札。座席は普通のリクライニングシート。ただし、モケットはスーパーおおぞらと同様の丹頂鶴の模様になっている。

 2339に白糠に到着したが、何やら臨時列車待ち合わせのため更に数分停まるとのこと。そのような列車は時刻表(手持ちの道内時刻表5月号)には載っていないが。隣の線にはスーパーおおぞらが入ってきていた。これが臨時なのか、それとも1時間遅れのスーパーおおぞら11号なのかは分からなかった。まりもは2346に白糠を発車。17分遅れ。明朝の追分での接続は50分以上あるので問題ないが、途中からまりもに乗る予定の人はやきもきするだろう。そう言えば昼間の新得駅改札付近に、まりもが遅れているときはこの電話でお問い合わせ下さいと表示された専用電話が備え付けられていた。夜間は無人になる駅らしいので、不安解消には良いと思うが、別の見方をすると、それだけよく遅れるということか。単線で自然環境も厳しいのでやむを得ないかも知れないが。

 白糠発車後間もなく、車掌が回り「電気暗くなりまーす」と触れて回り、間もなく車内が暗くなった。時刻表は何とか見えるが、バックライトのない端末で旅行記を打つのは極めて困難なので、そろそろ寝ることにする。

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