札幌往復で体験した発駅無賃送還とは

 先日、札幌からの無賃送還の体験記事を公開しましたが、JRの発駅無賃送還の制度について解説します。


JTB時刻表では、JR線営業案内のページに「事故などの場合の取扱い」という項目があり、このうち「列車が運転できない場合」の説明の中に、「旅行の途中でとりやめる場合は、お乗りにならない区間の運賃はお返しします。その場合、運転をとりやめた列車の特急・急行料金などは全額お返しします。」、「出発駅へ無料でお戻りになることもできます。この場合は運賃・料金の全額をお返しします。」と記載されています。さらに「列車が遅れた場合」の説明で、「列車が遅れたことによって、のりかえ列車に接続しなかったため、お約束の到着時刻より2時間以上遅れる場合で、途中で旅行を取りやめるときや出発した駅までお戻りになるときのお取り扱いは列車が運転できない場合と同様です。」という記載されています。筆者が札幌からの無賃送還を体験した2010年3月の時刻表でも、同様の表現となっていました。


JTB時刻表の記載から、列車遅延で予定した列車に接続できなかったことにより目的地への到着が2時間以上遅れる場合の救済策としては、次の2つがあることが分かります。

旅行を途中までで打ち切って、その先の運賃・料金の払い戻しを受ける。

出発駅まで戻って運賃・料金の全額払い戻しを受ける。


先日公開した札幌往復の事例のあらましは、以下のとおりです。

使用したきっぷ:東京都区内発の「ぐるり北海道フリーきっぷ」(フリーエリアはJR北海道の鉄道線全線で、事前に指定を受ければ特急の指定席も乗り降り自由。東京都区内からフリーエリアまでの往復には東北新幹線を含む特急・急行の普通車指定席または寝台特急「北斗星」のB寝台(ソロを含む)を利用可能。)

往路に予定した経路:

上野 7:02発「はやて1号」で八戸10:03着

八戸10:15発「スーパー白鳥1号」で函館13:14着

函館14:13発「スーパー北斗13号」で札幌17:29着

札幌17:48発「スーパー宗谷3号」で稚内22:47着

翌日は、宗谷本線を戻りながら途中の駅でDE15のラッセル車を撮影して旭川で宿泊。石北本線ラッセルを少し撮影してから札幌に戻り、札幌からの帰路には寝台特急「北斗星」のB個室寝台(ソロ)を予約していました。

実際の行程:

八戸到着までは予定どおり。

八戸10:15発予定の「スーパー白鳥1号」は折返しの「スーパー白鳥10号」の前方を走る貨物列車の機関車不具合で八戸到着が遅れたため八戸を22分遅れの10:37発。東北本線西平内・浅虫温泉間で強風による徐行運転のため函館に34分遅れの13:48着。

函館14:13発予定の「スーパー北斗13号」は折り返し列車の車両故障による車両変更のため51分遅れの15:04発。さらに通常は振子機能のあるキハ281系で運転されるところ、代車は振子機能の無いキハ183系だったため遅延が拡大して札幌到着は85分遅れの18:54。車中で、「スーパー宗谷3号」に接続しないとの案内を受け、発駅無賃送還を請求。札幌到着後に発駅無賃送還の業務連絡書と指定席券を受領。

札幌22:00発の急行「はまなす」で青森に翌朝5:39着

青森5:32発「つがる2号」で八戸6:48着

八戸6:55発「はやて2号」で東京9:51着

東京10:14発の横須賀線909S列車で鎌倉11:09着。鎌倉駅みどりの窓口で払い戻し手続。


「スーパー北斗13号」遅延により「スーパー宗谷3号」に接続できず、次の列車では名寄までしか行けずに稚内到着が翌日昼前になるので、時刻表の案内の「お約束の到着時刻より2時間以上遅れる場合」に該当します。救済を受けずに行程を変更しながら旅行を継続することは可能ですが、上記救済措置のうち①については、ぐるり北海道フリーきっぷの周遊エリアに入っているので、例えば札幌で打ち切っても払い戻しにはならなかったと思います。このときは②を選択して、出発駅まで戻って運賃・料金の払い戻しを受けることにしました。


時刻表の表現はかなり簡略化したもので、詳しくはJRの旅客営業規則を参照することになります。旅客営業規則はJR各社のホームページで公開されています。無賃送還に関連する規定は、旅客営業規則第282条、第284条、第286条です。該当する場合に旅客が無賃送還を「請求」して、それを受けて無賃送還の取扱いをする規定なので、勝手に帰りの列車に乗るのではなく、JR関係者に申し出て認定を受けて、業務連絡書や指定券等を受ける必要があります。

旅客営業規則第282条第2号で遅延による無賃送還を請求できる条件が規定されています。時刻表では着駅到着時刻が2時間以上遅れる場合としていますが、規則では、接続を1時間以上欠いたときも対象に含めています。

無賃送還の具体的な方法は旅客営業規則第284条で規定しています。要約すると概ね以下のような条件が原則です。

・普通列車で来た場合は普通列車の、急行で来た場合は急行(特別急行券だった場合は特別急行を含む)のうち、最も早い時刻のものを利用

・グリーン車等で来た場合はグリーン車等を利用(同種の車両が満員等で利用できないときは適宜の車両で)

・送還経路は元の乗車券の件路のとおり。ただし当該経路での送還ができないときは別の経路で

・途中下車していた場合は途中下車駅までの送還

・無賃送還中は途中下車できない

旅客営業規則第286条では運賃・料金の払い戻し駅を規定していて、発駅無賃送還の場合は送還を終えた駅とされています。


紹介した事例では、新幹線と在来線特急の普通車指定席を乗り継いできました。札幌到着時点では折り返し「スーパー北斗22号」発車前でしたが、函館から先の接続が急行「はまなす」しか無いので、札幌から青森まで急行「はまなす」、その先は往路と同条件で在来線特急と新幹線となりました。発駅無賃送還を申し出たのは「スーパー北斗13号」が1時間余り遅れて洞爺・伊達紋別間を走行していた17時頃で、上り「北斗星」とすれ違う前でした。しかし、「北斗星」には普通車指定席が無いので無賃送還には使えませんでした。

ぐるり北海道フリーきっぷは東京都区内発ですが、都区内入口駅までSuicaで来たので、発券場所である鎌倉まで送還され、鎌倉で払い戻しとなりました。


発駅無賃送還の制度については以前から知っていて、遅れが拡大した「スーパー北斗13号」車内で時刻表の案内を再確認していたので、「スーパー宗谷3号」に接続しないとの案内を受けてすぐに請求することができました。これまで自分自身が発駅無賃送還を経験したのは、この1度だけです。それにしても、これだけ遠距離の無賃送還は極端な事例と言えるでしょう。結果として札幌まで無料で往復できて珍しい経験をしましたが、「北斗星」乗車機会を逃し、その後に渡道する前に「北斗星」が廃止されてしまったのは残念です。

せっかく計画した旅行ですから、トラブルで旅行がキャンセルになることは無いに越したことはありません。しかし、列車遅延等のトラブルが発生したときにどのような救済制度があるのか知っていれば、トラブル遭遇時の選択肢が広がって安心材料になるかと思います。この記事では発駅無賃送還について深堀りしましたが、特急が2時間以上遅れた場合の特急料金払い戻しなど色々な制度があるので、たまには「JR線営業案内」にも目を通しておくと良いでしょう。

発駅無賃送還となった札幌への往路記録

札幌から鎌倉までの発駅無賃送還復路

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