1993年8~9月 東北 5~6日目 ー 弘南黒石線・五能線・小坂鉄道

 東北旅行の続きです。

台風の影響で一部ダイヤが乱れたなか、弘南鉄道の黒石線に乗った後、五能線の観光列車「ノスタルジックビュートレイン」に乗車。急行「津軽」・「八甲田」乗継で車中泊して花輪線から小坂鉄道に乗って十和田湖・奥入瀬渓流を経て酸ヶ湯温泉に至りました。


平成5年(1993年)9月4日(土)

610にフロントからの電話で起床。6時前出発の予定がなかなか起きてこないので心配したそうだ。親切なフロント氏に感謝。予定の623発には乗れないが、651発でも川部で予定の列車に追いつけることが分かる。635頃出発し、海沿いを回って青森駅へ。

改札の掲示で、611発予定の特急「白鳥」が運休とのこと。後輩がこれに乗るはずだったので心配だが、623発の客車列車でも川部で追い付けるはずだから大丈夫だろう。

 

◎青森 651729 川部  弘前行624

弘前行に乗車。走行音の静かな客車列車はやはり良い。

 

◎川部 735745 黒石  黒石行(弘南鉄道 運賃270円)

黒石では、黒石線のディーゼルカーと弘南線の電車が並ぶ。黒石線の車両は旧国鉄キハ22で、前日に乗った下北交通の車両と同じ形状。弘南線の電車は東急からの譲渡車。

◎黒石 750818 弘前  弘前行(弘南鉄道 運賃370円)

弘南線に乗り換え。乗車したのは元東急1000系だが、旧型車も健在で、途中の交換駅では3600系と行違った。中間にある平賀駅構内には車庫があり、1000系や旧型車の他、黒いラッセル車や凸型電気機関車も休んでいる。

弘前では昨夜南部縦貫で会った学生と再会。天気が悪いのでノスタルジックビュートレインに変更したとのこと。

 

◎弘前 9111357 東能代  ノスタルジックビュートレイン2  東能代行8526

弘前から川部まではDLELのプッシュプルでの運行。指定席は売切れとのことだったが、弘前発車時点の眺望車の乗客は僅か数名。川部からの乗客もなし。台風のため予定キャンセルが多いのかと思ったが、なぜか川部から3駅目の板柳で団体客が多数乗車して9割前後の席が埋まる。団体客は深浦で下車して、黄金崎温泉に向かうらしい。鰺ヶ沢と深浦では長時間停車があるため途中下車して資料収集。

深浦ではノスタルジックビュートレイン同士のすれ違い。台風接近のため次第に雨が強くなる。風も強くなり、展望デッキに雨が吹き込むが、陸奥黒崎と岩間の間で風景撮影。

強風のため周囲の大木も揺れが激しいが、列車は見事に定時運転。但し、接続列車や今夜の夜行が心配と、前述の学生や、団体客が降りて少なくなった他の乗客と話す。

ノスタルジックビュートレインの車内は、2人掛けと4人掛けのボックス席で構成され、前部に極小カウンター(スタンプが置いてあるだけ)、後部にベンチ風の席。室外に展望デッキがある。2人掛座席は全て進行方向に向いている。恐らく、終点で方向転換するものと思われる。天井には大きなファンが2基あり、ほぼ飾りのようなものだが、車掌室からの操作で動かせる。

ノスタルジックビュートレイン2号は定刻に東能代到着。

 

◎東能代 14211451 鷹ノ巣  大館行1635

この後、5分接続の「いなほ3号」で鷹ノ巣に行き、そこから秋田内陸縦貫鉄道の急行「もりよし3号」に乗り角館を散歩して大曲乗換で山形に向かう予定だった。しかし、「いなほ3号」が山形県内で2時間半の遅れで、直後に来た701系電車の普通列車で鷹ノ巣に向かったが、「もりよし3号」には接続しなかった。

鷹巣の郵便局で預金を下ろしたあと、秋田方向へ引き返すことにした。

 

◎鷹ノ巣 15491658 秋田  たざわ24  盛岡行L特急3024M

秋田内陸縦貫鉄道乗車を断念して秋田へ向かう。途中で降雨はあるも、秋田到着時にはほぼ止んでいた。

駅周辺を散歩するが特に収穫は無し。駅構内で開催されていた古書セールを眺め、ロッテリアで食料を仕入れる。

 

◎秋田 17502053 山形  こまくさ18号 山形行L特急38M

大曲から予定の経路に戻る。暗くなり、途中の主要駅も灯火が少ない。山形までうつらうつらする。

山形駅から電話した後、改札外の待合室で一休み。ほとんどの店は閉まっている。

 

◎山形 22072250 左沢  左沢行363D

左沢線最終列車の車内には発車10分以上前から多くの乗客があり、山形発車時には満席に近い。寒河江でかなりの乗客が下車し、残りの乗客は10名。

左沢駅は0645-1845だけ駅員が居て、それ以外の時間は駅舎が閉鎖されている。その間はホームに直結された通用口から出入りする形になっている。 


◎左沢 22572340 山形  山形行364D

僅か7分での折り返し。自分以外にもう1人折り返し客が居て、話しかけられた。関西の鉄研在籍とのことで、しばらく話をする。彼も津軽→八甲田と乗り継ぐそうだ。

山形到着時の情報では、「津軽」は20分遅れとのこと。

 

◎山形 2353→翌051 仙台  津軽  上野行急行1402M

山形の発車は日付をまたぎ15分遅れ。「津軽」は青森から福島までは奥羽本線を経由する列車だったが、山形新幹線の工事が始まってから経路が変わり、山形から仙山線で仙台を回るルートとなっている。当初予定は、福島まで「津軽」に乗り、福島で10分接続となる下り「八甲田」に乗り換えるものだったが、台風によるダイヤ乱れが懸念され、現に「津軽」は山形発車時点で15分遅れのため、手前の仙台で下車して「八甲田」を待つことにした。

台風のためか車内は空いていて、13号車の自由席は各自がボックスを占有してまだ余裕がある。山形・仙台間における1号車の乗客は78名程度。ノスタルジックビュートレインで一緒だった人は発見できず、他に鉄研会員も見当たらず。

 

平成5年(1993年)9月5日(日)

仙台到着時に遅れは10分以内に回復。左沢線から一緒だった学生氏は改札内待合室へ。自分は改札を出て下車印を貰って散歩。駅を出て歩道橋沿いに右の通りに出るとコンビニと吉野家が開いており、吉野家の牛丼で夜食をとった。その後は駅に戻り、行内散歩の後、3階広場の壁画の下でラジオを聴きながら休憩。230頃改札を通り、待合室へ。300にホームへ。

 

◎仙台 314555 盛岡  八甲田 青森行急行101

「八甲田」は定刻どおりに仙台到着。この日は増結車が無く、混んでいる。仙台乗車時の自由席は5565%の席が埋まっているところ、2席占有の人も多いため事実上満席に近い。何とか、前述の学生氏と共に2人席を確保。狭いが仕方ない。

しばらく寝て、北上で目覚めると外は明るくなりかけていた。手帳には記載していなかったが、この旅の途中、夜明けのホームに風鈴が涼し気に鳴っていたのを記憶している。令和3年の旅日記編集の際にネットで「東北本線 ホーム 風鈴」で調べると、水沢がヒット。当時の時刻表によると、この列車の水沢の発車時刻は北上の15分前の501。昭和38年から夏季の水沢駅ホームにおよそ1500個の南部風鈴を設置しているとのことで、紹介動画の映像や音も印象のとおりなので、ここに相違ないようだ。平成8年に「日本の音風景100選」に選ばれたそうだ。盛岡に近づいた545には、左前方に虹を確認。盛岡到着は定時。

2階の待合室に荷物を置き、駅構内を歩く。土産物屋で南部鉄卵を購入。700から待合室のマルチビジョンでニュースを観る。台風の影響は若干残るものの、行程に支障は無いようだ。

 

◎盛岡 743808 好摩  沼宮内行1523

花輪線の列車は盛岡830発だが、暇なので花輪線と分岐する好摩まで客車列車で先行した。最後車はがら空き。

好摩は石川啄木も利用していた駅で、駅から青森方へ線路沿いに50m程のところに小公園と歌碑がある。

 

◎好摩 8571129 大館  大館行1929

乗車した大館行はキハ52の単行。対向列車にはキハ58系の2両編成も多い。途中の平館で前展望席確保。松尾八幡平・安比高原間には33.8‰の登り勾配があり、かつてSLの3重連が活躍したところ。この列車の運転士は指差確認を徹底し、ブレーキハンドルもしっかり握っていて、先日の大湊線と対照的。

花輪線走行中も少し雨が残るが、近くの山々については視界が悪くない。十和田南で方向転換のため、最後部席になる。

 

◎大館 12001236 小坂  小坂行(小坂鉄道 運賃580円)

小坂鉄道の大館駅は、JR駅を出て右前方に進むと在る。小坂まで硬券は無く、券売機で発券される乗車券は、白地にワープロで打ったような文字で粗末なもの。通票閉塞を使用していて、腕木式信号機が多数並んでいる。大館発車時に駅員が信号の切り替えを忘れていたのか、発車ベルを鳴らした後で慌てて転換に行った。


途中、茂内が交換駅で、通票の授受器がある。ここでタブレット交換。篭谷(かごや)・古舘(ふるだて)間にトンネル2つ。

小坂到着後、列車は入れ替え作業を始める。線路沿いに徒歩10分ほど戻ったところに、鉱山病院前バス停がある。

 

◎鉱山病院前 13151340頃 十和田南駅入口  (秋北バス 690円)

十和田南駅までの所要時間は2530分で、運賃は420円。下車したバス停は「十和田南駅入口」で、停車少し前に、左手に駅が見える。駅で蕎麦を食した後、JRバスを待つ。

 

◎十和田南 14401542 十和田湖休屋  とわだこ15号 十和田湖行  JRバス

東北ワイド周遊券でJRバスも利用できるが、この区間のバスは210円の指定券が必要。到着したバスは古い路線バスで、「とわだこ15号」の表示はない。指定券のチェックも行われず、何か騙されたような感じ。十和田南からの乗客は3名。内1人は12区間で下車した。途中からの区間客もあったが、しばらくすると皆下車し、行程半ばで乗客1人になった。日差しがあるが、時々降雨。峠の上から見た十和田湖に虹が見えた。峠を下りるとバスは湖岸すれすれの道を走り休屋へ。

休屋では秋田の竿灯の祭りをやっていた。

 


◎十和田湖休屋 15501615 子ノ口  三沢駅行 十和田観光電鉄バス

すぐに出発しかけた三沢行バスに飛び乗り、子ノ口へ行く。途中、両替機がなかなか作動しない。

子ノ口で、雲の合間から差す光が美しい。


子ノ口から奥入瀬渓流を歩くが、意外に時間がかかり、銚子大滝から予定していたバスには乗れず、次のバスが来るまで歩くが、途中で雨が降ってくる。

そこへ通りがかりの車が止まり、途中まで乗せて行ってくれることになった。急速度で奥入瀬を通り過ぎ、バイパスのような道を飛ばす。霧の中で、運転しているのはかなり年をとったおじいさんだが、その技術はすごい。他に助手席におばさんと後部におじさんが乗っている。こちらに話しかける時には何となく分かるが、彼ら同士の話はさっぱり分からない。結局、谷地温泉まで乗せて行ってくれた。ちょうど、予定の1本前のバスが5分くらいで来た。

 

◎谷地温泉 → 酸ヶ湯温泉  みずうみ21号 青森駅行 JRバス

今度のバスは観光用車両で、ガイド嬢まで乗っているが、先客は埼玉から来たらしいおじさんが1人。景勝地ではガイドの説明あり。程なく酸ヶ湯に到着。バスもここで10分停車だが、そのまま宿へチェックイン。

 

(宿泊)酸ヶ湯温泉旅館(自炊部)  Tel 0177-38-6400

布団・ガスは使わず毛布だけ借り、ポットの湯でカップ麺等を作ることにする。ガスを使用した場合は基本料金だけで600円余りかかる。

夕食後、大浴場へ。パンフレットで見たとおりだが、夜間のため、薄明りの灯るなか暗い。熱湯、冷湯、四分六分の湯等は特に温度と関係なく、その成分によるものらしい。熱湯が最も白く濁っている。酸性が強いため、防水の腕時計も外して入る必要がある。

入浴後しばらく横になり、2130頃起きる。大浴場は2200から2300まで女性専用となるため、2200近くに今度は小浴場玉の湯へ行く。再び2320頃大浴場に行くと空いている。その後、バスタオルを枕に、毛布に包まって寝る。

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