2006年09月 北海道 3日目 - 霧の花咲線を根室まで往復
旅行3日目は川湯温泉から釧路に出て、根室を往復して、夜の特急おおぞらで札幌へ移動しました。
2日目後半平成18年(2006年)9月9日(土)
6時に起床。窓を開けると、硫黄山が見える。手前の駐車場では、バスの点検をしている運転手がいる。駐車場には、「ごくろうさま」の表示と共に、本日のバス12台との表示。
しばらくしてから大露天風呂へ行く。ここからは硫黄山は見えない。相変わらず熱い湯だが、外気温は低いので、休みながら入る。この時間も貸し切り状態。
7時に朝食。既に幾つかのグループが席に着いている。グループ客は一様にバス会社の制服を着ている。どうやらここは、川湯温泉街か摩周温泉に泊まる団体客を降ろした後で、運転手やバスガイドが宿泊する宿として利用されているらしい。早目に朝食を済ませて川湯温泉街にバスを着けて前夜の団体客を乗せるのだろう。
ゆっくりと40分近くかけて朝食をとり、部屋に戻って荷物をまとめる。8時少し前にチェックアウト。2食付の料金は8,300円だった。ボリュームのある食事が付いてこの値段は安い。なお、館内のポスターで、様々なプランが紹介されている。シーズンオフになると、湯治用の素泊まり2,600円のプランあり。また、観光協会によるオプショナルツアーとして、夏季は硫黄山への早朝散歩、ほぼ通年で星空の摩周湖ツアーもある。原則として事前予約が必要なようで、今度来たときには利用してみたい。
川湯温泉駅は、木造の山小屋風で洒落ている。戦前の建築で、風格もある。駅に併設の喫茶「オーチャード・グラス」は、まだ営業時間外でひっそりとしている。少し時間があったので、最近新設された足湯を数分間利用。
ホテルパークウェイから湯を引いているもので、ここの湯も熱い。他に自転車乗りの格好をした人が利用していた。
川湯温泉街からのバスが到着し、十数人が降りてきた。いずれも釧路行の列車を利用するようだ。
◎川湯温泉 817→1007 釧路 釧路行4725D キハ54 526単行ワンマン
川湯温泉からの乗客で、車内の座席は7割方埋まる。曇り空の下、列車は釧路方面に南下。摩周までの区間で、やや高台を走るが、右方向の屈斜路湖は、見えそうで見えない。林の陰なのか、もっと遠いのか。
摩周と標茶からの乗客が多く、ほぼ満席になる。標茶からは隣の席に地元の作業員風のおじさんが乗ってきて、気さくに色々と話しかけてくる。塘路から釧路湿原までは団体客が大勢乗り込み、通路やデッキに立つ人も多かった。
列車は時折警笛とともに急減速。鹿が線路に出ているらしいが、前方にも団体客が立っているので、現在いる席からは見えない。東釧路で根室本線に合流。東釧路には駅周辺に住宅などが立ち並んでいる。
釧路で下車して、駅から数分の和商市場を散歩。ここは、勝手丼が名物。イクラ、雲丹、サーモンなどの食材が1口サイズ100~300円程度で小分けして販売されている。別途ごはんを購入して好きな具材を買い揃えて載せていくもの。興味はあるが、朝食からまだ時間が経過しておらず、まだ昼食の気分でもないので見物だけに止める。蟹などの土産物も販売されていて、通り掛かると色々なところで呼び止められる。
◎釧路 1056→1102 東釧路 釧路湿原ノロッコ2号 塘路行9332レ DE10 1660+客車5両編成 先頭=オハ510-1
駅に戻って、これから根室に向かうのだが、根室行の直前に釧路湿原ノロッコ号があったので、根室方面と分岐する東釧路まで1駅だけ乗車。発車のだいぶ前から入線していて、乗務員が機関車の前で記念撮影の手伝いをしている。かなりの賑わいだ。
1両目は50系客車の改造車だが、2号車以降が展望車両。2号車も自由席のようだが、既に満席である。1号車の座席も7割程度埋まっている。
東釧路で下車。後ろの車両にいた車掌が駆け寄って来たので、周遊きっぷを見せる。東釧路は無人駅だが、駅舎は石貼りで風格がある。
◎東釧路 1107→1308 根室 ノサップ 根室行3631D 快速 キハ54 514単行ワンマン
2人掛けクロスシートはそれぞれ1、2人の利用があったので、しばらくは後方のロングシートに座る。厚岸近くまでに空いてきたので、左側の席に着く。
座席は転換クロスシート。座席のモケットには、鶴や白鳥、梟、湿原、白樺、灯台などの沿線風景がデザインされている。外は雲が厚く、遠方の景色は霧がかかっている。車両の前方の窓には雨が当たっている。厚岸湾が広がったものの、遠方は霞んでいる。
厚岸に停車。ここには名物駅弁のかきめしがあり、デパートの駅弁大会などで出品されるものよりも牡蛎の量が多いらしい。駅売りもあるとのことでホームの様子を窺ったが、ホームでの販売は行われていなかった。停車時間が短いので駅舎まで買いに行くことはできない。
厚岸を過ぎると列車は内陸に入る。緩い峠道が時折あるが、左右には草原か原野が広がる。カーブも多い。
厚床駅付近は左手には建物が並ぶが、右手には草原が広がる。この草原をバックに青春18きっぷのポスターが作成されたことがある。厚床を出ると右手に牛の牧場があった。
1232に406.5km地点付近で鹿と接触して停車。運転士が車両点検の後、手袋をはめて下車して後方に走り、鹿の死体を線路脇にどけて戻る。1240に運転再開。
落石の手前の原野には、名前も知らない花が何種類か咲いていた。落石で上り列車と交換。先程の鹿との接触の影響で落石発車は6分遅れ。天気予報では午後の方が晴れるようだったが、落石を過ぎると霧が幾分濃くなったようだ。
快速なので、落石を出ると、終点の根室まで停車しない。435km付近では、左手の切り通しの上で、鹿が通過する列車を眺めていた。
列車は根室に近付き、花咲を通過した。意外なことに、この辺りでも内陸部を走り、海岸は見えない。左右に家が点在するようになってきて、日本最東端の東根室を通過すると、左にカーブしながら市街地に入っていった。根室到着は5分遅れ。構内には3本程度の側線があるが、ホームは片面1線。
駅前に出ると、小雨も降っていた。視界もあまり良くない。納沙布岬へのバス(結構年季の入った車両)は列車に接続していたが、この天候では北方領土の眺望も期待できないので、乗らないことにする。傘を出してから、200mほど先にある、根室本線の終端点まで行ってみる。終端の表示と共に、札幌や東京までの距離が表示されている。
バスターミナルを兼ねた観光物産館は閑散としている。花咲蟹を扱う商店が並んでいる。呼び込みは熱心だが、通行人が少ない。ロシアからの観光客も多いのか、駅前交番にはキリル文字の看板もあった。
駅に戻って、東根室の入場券だけ土産に購入。ホームで記念撮影。
◎根室 1350→1613 釧路 釧路行5636D キハ54 514単行ワンマン
納沙布岬観光を取りやめたので、乗ってきた同じ車両で釧路へ引き返すことにする。これに乗れば札幌には当初予定よりも2時間以上早く着く。
東根室では駅名標の撮影。花咲・西和田と、貨車再利用駅舎が続く。イラストなどが描かれている。
落石を出てすぐ、僅かに港が見えるが、埠頭の先端は霞んでいる。他は、原野を縫って進む。人の手の入っていないような丘陵が広がる。晴れていれば鮮やかであろうが、霧の原野もまた幻想的である。
別当賀手前の419km地点付近の林には、防霧保安林の表示があった。霧は列車の運行にも支障が出るので、昔から対策を立てているようだ。
厚床で下り列車と交換のため5分停車。青春18きっぷのポスター撮影地となった原野を背景に停車中の列車を撮る。交換列車は定時に到着。この列車も定時に厚床を発車した。単線だと1列車の遅れが交換待ちを通じて波及しやすいが、先刻の遅れは回復しているようだ。
厚岸に停車。やはり駅弁のホーム販売は無く、すぐに発車。天気は幾分回復気味で厚岸湾も多少ははっきりと見えるが、それでもなお雲は厚い。
列車を早めたので宿の到着予定時刻の変更をじゃらんネットに送信。駅間で圏外となるところが多く、送信には時間がかかった。
釧路駅2番線に到着。札幌行のスーパーおおぞらは改札前の1番線なので、ホームを移動する。扉の付いた階段口からエスカレーターを使う。
◎釧路 1617→2013 札幌 スーパーおおぞら10号 札幌行 特急4010D 283系10両編成 先頭10号車=キハ283-20
10両の堂々たる編成。前方には、先頭車の形状をした車両が3両連なる不思議な光景。特別な需要があるのか、通常期よりも4両多い。ただし、釧路発車時点での先頭車には乗客は5人だけである。タンチョウ鶴が図案化された座席にはフットレストが付く。
釧路を発車すると早速力強く加速し、183系なども待機する車両基地の脇を駆け抜けていく。
走行中のエンジン音は思ったよりも大きい。強制振り子の作動音もある。それ以上に振動が大きいのが気になる。振り子の傾きとは別に、線路の継ぎ目を拾うこととエンジンの振動が複合的に関係しているように思う。無理して高速走行しているような印象だ。
白糠はホームが9両分しかないので、一番後ろの車両はドアが開かないとのこと。白糠を出ると、海岸線を走る。太平洋の荒波が間近に見える。先頭の運転席下にある貫通路の窓から、この様子を眺めることができるが、窓には虫がこびりついている。
しばらくして車内販売が回ってきたので、弁当「釧路魚礁」を購入。遅い昼食兼早めの夕食。蟹とサーモンとイクラの乗った寿司である。
上厚内で下りスーパーおおぞらと交換のため短時間の運転停車。下りも9両編成である。
雲の切れ目からようやく晴れ間が覗いてきた。十弗付近では夕焼けが少し見える。
池田に停車。ここもホームが9両分。池田を発車すると、この3月で廃線となった北海道ちほく高原鉄道が分岐する。駅付近では線路が撤去されていたが、少し先の踏切からは、そのままの状態で残り、やがて右手に別れて行った。
帯広でまとまった数の乗車があり、先頭車両の乗車率はおよそ30%になる。帯広手前からの高架線を、伯林台を過ぎてから降下。貨物ターミナルを右手に見ながら走行。
18時になり、外は急速に暗くなる。せめてあと30分日が長ければ狩勝峠の眺望が楽しめるのだが、新得を出る頃には夜景になっていそうだ。
新得を発車。狩勝峠は暗くてよく分からないうちに通過して新狩勝トンネルに入る。東占冠信号場で下り列車交換待ち。
下りが若干遅れて停車時間は延び、1852頃発車。トンネルの続く石勝線を飛ばす。新夕張直前まで高速走行していて、ポイント音から楓の信号場を通過するのかと思ったら、右手に下り特急とかちを見ながら急減速して停車。新夕張だった。回復運転のためか、新夕張は定刻発車だった。
終点札幌に到着。隣のホームからスーパーおおぞらを撮影し、改札外の土産物店を眺めてから地下鉄駅に行く。
◎札幌 2037→2042 中島公園 真駒内行 3000系8両編成 最後=3803
券売機で千円分のプリペイドカード「共通ウィズユーカード」を買って改札を通る。運転間隔は長いようだが、ホームには電車を待つ人が集まっている。車種によって扉の配置が異なるらしく、乗車位置の表示が2種類ある。しばらく待って乗車した地下鉄は混んでいたが、押し合う程ではない。
3つ目の中島公園で下車。2番出口を出て、予約時にダウンロードした地図を頼りにホテルを見付けてチェックイン。613号室に入り、テレビドラマを見ながら休憩。部屋はツインルーム。建物は全体的に古めかしく、特にユニットバスは古さが目立つ。空の冷蔵庫あり、ポットなどは貸し出し。
ホテルの近くの「てもみん」札幌中島公園店でマッサージを受ける。その後、近くのコンビニで飲料や携帯食を買ってホテルに戻る。ロビーで新聞に目を通すが、ロビーには水商売風のグループが陣取って頻繁に電話を受けている。部屋に戻り、シャワーを浴びてから2430就寝。
宿泊 札幌オリエンタルホテル 011-562-6001
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